傷だらけ父さんのHappy Life Journey -マルファン症候群と共に生きる-

難病(マルファン症候群)をもち、これまで多くの手術を経験。そんな傷だらけ父さんの闘病記とハッピーな人生を追い求め挑戦する姿を紹介します。同じような境遇にある人、支える人達の不安を和らげ、諦めない気持ちへのエールになれば幸いです

メキシコ旅行 (大動脈解離B型 手術後初の家族旅行 & 旅行準備)

 2017年秋に大動脈解離B型(遠位弓部から下に20cm位の大動脈解離)の治療として遠位弓部下降大動脈の手術を受け、人工血管に置換した。その手術は解離した大動脈の3分の1ほどを人工血管に置換するもので、メキシコへの旅行を考え始めた2019年の秋(前回の手術から2年後)の段階では、まだ残り3分の2の部分(みぞおちから股辺りにかけて)は解離性大動脈瘤として残存していた。

 解離性大動脈瘤は言ってしまえば、内膜、中膜、外膜の3枚で構成されている血管の壁が裂けて、外膜一枚だけで血管(大動脈)が強い血流・血圧に耐えている状態だ。一度外膜までも裂けてしまえば、それは大動脈破裂となり命が助かる可能性は少ない。

 そんな爆弾を抱えながらもなぜメキシコに行きたかったのか。それは“今しかタイミングが無い”と自己判断したからだ。

 前回の手術から1年半後にあたる2019年の6月、7月に2度、仕事で中国(瀋陽)に海外出張した。その海外出張前に主治医に相談した時は「安定している状態から考えて、ダメとは言いませんが、現地で何かあった時に病院があればいいですけど。」と、自己責任のもとの許可を貰っていた。加えて、手術から2年が経ち、体力・気力ともに本調子に戻ってきたように感じていたし、夏の海外出張の実績から大丈夫だろうと考えていた。また、残存している大動脈瘤の最大径(解離している大動脈で一番広く拡張している箇所の直径)は10月に撮ったCT検査の結果、まだ手術適応の大きさでは無かった。

 一緒に行く奥さんは、大動脈瘤の破裂した時のこと、リスクを考えれば海外旅行、ましてや地球の反対側で言葉の十分に通じないメキシコ(母国語はスペイン語)で不安を感じたようだが、十分な準備を前提に行くことに賛成してくれた。

 ただ、最終的にメキシコに家族旅行に行った私が言うのも説得力が無いが、大動脈瘤を抱えている方に遠方への海外旅行はおススメはしない。行くにしても、自己責任でよく考え、準備して行ってほしい。

 私はリスクを承知で 「今しかない。ここで行かなければ一生後悔するかもしれない」 と考えて決断した。旅は年末年始を挟んだ12月。メキシコは日本より暖かい。メディカルツーリズム(医療観光)の上位国として医療レベルが比較的高いという情報もあった。また、スペインに一年滞在経験のある我が一家にとってスペイン語(ラテン)圏への旅行は抵抗が無かった。

 この時期でなくてはならなかった理由は、ちょうど転職が決まっており、12月24日まで働いた後は有給消化期間の休みで、かつ小中学生の子供らは冬休みという遠方へ家族旅行に行ける中々ないチャンスだった。そして、タイミングという点で一番私を焦らせたのは 残存している解離性大動脈瘤の存在であった。遅かれ早かれ手術をしなければならない大動脈解離の残存箇所。ただ、“手術をした場合は、後遺症として足や下半身の麻痺のリスクがある”という事を知っていたため、「今のタイミングを逃して、手術後にもし足が動かなくなったら海外に行くことは難しくなるだろう。そしたら、絶対後悔する。やっぱり今しかない。」と決断したのだ。

 ただ、もう一度念押しで伝えたい。大動脈瘤を抱えている方が遠方への海外旅行に行く場合は自己責任でよく考え、準備して行ってほしい。

 それでも私のような理由で、"どうしても今しかない!" 、 "リスクは承知で人生を悔いなく生きたい!" という方もいるだろう。そんな方にとって下記の私の準備と経験が参考になればと考えて、下記に私たち一家の渡航準備の記録を共有する(繰り返しますが、判断は自己責任です)。

 また、マルファン症候群と診断されている我が子も同行した家族旅行であるので、当然子供のことも考え、準備をした。マルファン症候群のお子さんを持つ人にとっても、下記が海外旅行を行く際の参考になれば有難い。

 

 

【メキシコ旅行 in 2019】

渡航時の状態

・大動脈解離A型 (大動脈基部置換) 術後  15年

・大動脈解離B型(遠位弓部下降大動脈置換)術後 2年

・大動脈解離B型(解離性胸腹部大動脈瘤) 残存あり:最大径 43mm

・他の既往症: なし

渡航準備

・大動脈解離A型 術後9ヶ月でのスリランカ旅行と同様に医師の診断書(英語版)を持参。

・医師の診断書に加え、もしもの時を想定して誰にでも病状がわかり、同行者が説明出来るように下図の病状説明資料を準備、持参した。

(日本語版)

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(英語版)

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・解離性大動脈瘤が残存している事を考慮して、日々の血圧を測定するために、持ち運べる血圧測定器を持参。

・マルファン症候群と診断されている子供も一緒に旅行するため、万が一を想定し、子供の状況を記載した医師の診断書を持参した。診断書にはマルファン症候群であること、服薬、緊急時の連絡先(主治医の連絡先)等が書かれている。

 

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・私、子供とも服用している薬の詳細(英語版)をインターネットで検索、印刷し持参。

・上記の診断書や病状説明資料はパスポートと同様にファイルにまとめ常に携帯し、行動した(税関で診断書を見せる必要はない)。

・標高が高く、酸素が薄いため頻繁に休憩をとる。ゆったりとした旅の計画をたてる。

・標高が高くアルコールがまわるのが早く、身体への影響が日本にいる時より大きいので出来るだけお酒は飲まない(往復の飛行機を含め)

下記はスリランカ旅行時と同じ(スリランカ旅行の準備記録は→コチラ

・予定通り帰国出来ない不測の事態を考えて、必要量に加え予備の薬を持参。

・人工血管が入っているため、血液の細菌感染のリスクが無いように気をつける(汚い池に入らない、動物に噛まれないように動物を触らないなどリスクを避ける)。

・人工弁が入っているため薬(血液凝固阻害剤)を服用しているので血が止まりにくい。怪我のリスクのあるアクティビティは避ける。

渡航概要

旅行期間: 2019年12月(9日間)

同行者: 家族 (奥さん、小中学生2人)

渡航先: メキシコシティ、テオティワカン、グアナファト

航空ルート:  成田国際空港⇄メキシコシティ(アエロメヒコ航空)

旅行方法:  半バックパック旅行(往復のチケットとローカルの宿泊先は事前予約。行き先は現地で決め、現地の交通手段で移動)

渡航振り返り

長くの間ずっと行きたいと望んでいたメキシコ。現地の治安は想定していたより悪くなく、人も親切だった。街はカラフルで音楽に溢れ、”リメンバー・ミー“の世界がそこにあった。欧米でも新型コロナウイルスが猛威を振るう2ヶ月前。ここでしか行けないというタイミングに家族で行けて、無事に帰ってこれたことに感謝。

 

*メキシコ旅行の詳細(なぜそこまでメキシコに行きたかったのかという理由、そこでの経験、光景、食事など)は渡航記として別途まとめ投稿する予定です。 

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